LE SALAIRE DE LA PEUR
恐怖の報酬
1953:仏
監督:
アンリ=ジョルジュ・クルーゾー Henri-Georges Clouzot  
出演:

イヴ・モンタン

Yves Montand マリオ
シャルル・ヴァネル Charles Vanel ジョー
ペーター・ヴァン・アイク Peter Van Eyck ビンバ
フォルコ・ルリ Folco Lulli ルイジ
ヴェラ・クルーゾー Vera Clouzot リンダ
ウィリアム・タッブス William Tubbs オブライエン
「仕事の分担だよ。お前は運転、俺は恐怖だ」
★★★★
中米の石油採掘地ラス・ピエドラスは、食いつめ者たちのたむろする吹きだまりの町となっていた。この町で希望のない日々を送っていたコルシカ島生まれのマリオは、パリから流れて来たジョーと同じフランス人ということで意気投合するが、身なりが良く紳士風に見えた彼もやはりただの一文無しに過ぎなかった。ある日町から500キロ離れた山上の油田で火災事故が発生。13人の犠牲者を出しながらもなお火の手は衰えず、爆風によって鎮火させるしか手はなかった。石油会社はニトログリセリンの使用を決断するが、危険物運搬車を用意する時間はなく、使えるのはトラック2台しかなかった。日雇いで運び屋を募集することになり、報酬2000ドルに釣られて多くの男たちが名乗りを挙げるが、少しの衝撃でトラックごと吹っ飛ぶ死と隣り合わせの仕事と知って続々と辞退、残った者の中からマリオ、ビンバ、ルイジ、スメルロフの4人が選ばれた。しかし約束の時間になぜかスメルロフは姿を見せず、代わりに年を取り過ぎであると選から洩れたはずのジョーが現れる。何があったか詮索している暇もなく、マリオとジョー、ビンバとルイジが組んでトラックに乗り込むことになった。大金を掴んで町を出て行くか、あるいは死か。命を賭けた大博打に出た4人の男たちを乗せて、2台のトラックはゆっくりと動き出した─。
おフランス映画は甘ったるいラブ・ロマンスばかりじゃないよ、と知らしめるサスペンス・スリラーの傑作。ニトロの運搬という文字通り“一触即発”の危険を抱え、スピード&アクションとは真逆の静かで張りつめたスリルに息を呑むのも憚れる思いがします。仲違いしている主人公たちと違って、順調に進んでいたと思われたもう一方のコンビがあっけなく吹っ飛んでしまう場面、主人公にも観客にも失敗の理由を知らせぬままという冷徹で渇いたタッチがより緊迫感を煽ります。ただサスペンスを描くだけでなく、危険な仕事を請け負う動機付けに男たちの人生模様を丁寧に描写しているのはいかにもヨーロッパ映画らしいところですが、にしても火災事故発生まで約30分、トラックが発進するまで小一時間かかるのはいささかまったりし過ぎかも。シニカルな結末もやや疑問の残るところですね。ハリウッドで作られていればもっとテンポ良くまとめたでしょうが、ロイ・シャイダー主演のハリウッドリメイク版はあまり評判は芳しくないようです。

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