REAR WINDOW
裏窓
1954:米
監督:
アルフレッド・ヒッチコック Alfred Hitchcock  
原作:
コーネル・ウールリッチ Cornell Woolrich  
出演:

ジェームズ・スチュワート

James Stewart ジェフ
グレイス・ケリー Grace Kelly リザ
ウェンデル・コーリー Wendell Corey ドイル刑事
セルマ・リッター Thelma Ritter ステラ
レイモンド・バー Raymond Burr ラーズ
「女は病院以外は必ず化粧品と宝石は持っていくわ」
★★★★
カメラマンのジェフは撮影中の事故で足を骨折し、アパートの自室で車椅子に座ったきり身動き出来ないでいた。唯一の気晴らしは向かいのアパートの住人たちの様子を窓から眺めることだけ。ブラインドを下ろしたままの新婚夫婦、毎晩男たちに囲まれているグラマラスなダンサー、一人淋しそうなオールドミス、スランプの作曲家…そこには様々な人間模様があった。そんなある日、セールスマンの男が病床の妻と激しい口論をした直後から、妻の姿が見えなくなったことにジェフは気付いた。もしや夫に殺されたのでは…?友人ドイル刑事に捜査を依頼するが、聞き込みの結果妻は転地療養に出掛けているとのことで、郵便受けには彼女からの手紙も来ており何一つ不審な点はないと言う。しかし妻のバッグや宝石が部屋に残されたままであり、ジェフは納得しなかった。セールスマンの男は荷物をまとめ旅支度を始めている。さらに裏庭の花壇を掘り返していた小犬が何者かに殺されるという事件が起こった。いよいよ疑惑を深めたジェフは、恋人リザと看護婦ステラの協力を得て行動を開始する。
コーネル・ウールリッチ(=ウィリアム・アイリッシュ)といえば、『幻の女』がミステリマガジンの“読者が選ぶ海外ミステリ”ベスト1に輝いたサスペンスの巨匠。その原作を受けて、神様ヒッチコックが映像化したのだから面白くならないはずがない!というわけで期待に違わず極上のサスペンス作品に仕上がっており、ヒッチコック作品の中でも五指には入る傑作と思われます。カメラはラスト近くまでほとんどアパートの一室から出ることはなく、さらに主人公は身動きとれないというハンディキャップが加わり、劇場の椅子に座ったままの観客も主人公とまったく同じ視点で物語に溶け込んでいけるという趣向。女性の着替えや痴話喧嘩を覗き見る場面では、こちらも覗きの共犯になったような気分にさせられますね。冒頭で主人公の職業と置かれた状況を把握させるのに、台詞を用いず壊れたカメラと壁に貼られた写真だけでユーモアたっぷりに説明してみせ、また殺害シーンそのものを描くことなく肉切り包丁やノコギリで暗示するといった、小道具を効果的に使ったヒッチコックならではの映像魔術は本作でも冴え渡っています。天候に左右されるロケを嫌い、極力セットで撮っていたというヒッチコック監督、この作品でも半年を要したという大掛かりで精巧なセットの中ですべて撮影されていますが、向かいのアパートの裏側がどうなっていたかが気になるところです。

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