QVO VADIS
クォ・ヴァディス
1951:米
監督:
マーヴィン・ルロイ Mervyn LeRoy  
出演:

ロバート・テイラー

Robert Taylor マーカス
デボラ・カー Deborah Kerr リジア
ピーター・ユスティノフ Peter Ustinov ネロ
レオ・ゲン Leo Genn ペトロニウス
パトリシア・ラファン Patricia Laffan ポッペア
フィンレイ・カリー Finlay Currie ペテロ
「“クォ・ヴァディス・ドミニ”主よ何処へ行き給う」
★★★
西暦64年、マーカス・ヴィニキウス率いるローマ軍第14軍隊が3年にわたるブリテン遠征を終え首都ローマへと戻って来た。皇帝ネロに他の軍隊の到着を待って凱旋式を行うから待機するよう命じられたマーカスは、皇帝の側近である叔父ペトロニウスの手引きで元将軍の屋敷に宿泊、その養女リジアの美しさに忽ち心を奪われる。リジアもマーカスに対して惹かれるものを感じるが、流血と征服ばかりの彼の話を嫌った。マーカスはペトロニウスを通じて皇帝に褒美としてリジアを賜るよう願い出、凱旋式の夜、宮殿の宴にリジアは連行されるように引き出される。しかしリジアはマーカスの力づくの求愛を撥ね付け、彼女の忠実な護衛ウルススとともに姿を消した。リジアの行方を追うマーカスは占い師により彼女がキリスト教徒であることを知り、部下を連れ信徒の秘密の集会に紛れ込んで、キリストの第一使徒であったというペテロの話に聴き入るリジアの姿を見る。帰り道にリジアを奪おうとしたマーカスだが、ウルススの抵抗に合って傷を負い、信徒の家に連れて来られて介抱された。そこでリジアの愛を確かめたマーカスは改めて結婚を申し込むが、キリスト教の信仰はローマ軍人として到底受け容れられるものでないことを思い知らされ彼女の元を去った。一方、皇帝ネロは古い都ローマとその民衆を嫌い、新首都ネロポリスの建設計画を進め、ローマを灰燼に帰すことを決意。ネロの命によりローマは炎に包まれ、その光景を見て琴を奏で歌を歌って悦に入るネロだったが、宮殿になだれ込んで来た群衆の姿に怖れをなし、王妃ポッペアの姦言により放火の罪をキリスト教徒になすり付けようと考える…。
大掛かりなセットに夥しい数のエキストラ、ローマが大火に包まれるスペクタクルシーンもなかなか見応えあり、ほぼ同時代を描いた『ベン・ハー』と比べてもスケール感においてはけっして遜色ないように思えます。しかしなぜこの作品が『ベン・ハー』たり得なかったのか、決定的な違いはやはり主人公の魅力の乏しさでしょうか。マーカスはベン・ハーほどの苛酷な試練に見舞われるわけではなく、キリスト教の信仰に目覚める過程も説得力に欠け、というか本当に信仰を持ったのかどうかも疑わしい結末となっています。暴君ネロと迫害されるキリスト教徒たちの間に立って、狂言回し的な役割を果たしているに過ぎませんね。けれどその分ピーター・ユスティノフ演じるネロのキャラクターが、主人公をすっかり喰ってしまうほどに強烈な印象を残します。その異常性と孤独さを見事に表現し、悪名高き歴史上の人物にまさしくこうであったかと思わせる血肉を与えていますね。なのであくまでも史実に基づいたピカレスク映画として観るのが良いかも知れません。またソフィア・ローレンが奴隷役でエキストラ出演、エリザベス・テイラーもカメオ出演しているはずなのですが、私にはどの場面か確認出来ませんでした。ご存知の方がいらっしゃいましたらご一報を。

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