IT HAPPENED ONE NIGHT
或る夜の出来事
1934:米
監督:
フランク・キャプラ Frank Capra  
出演:

クラーク・ゲイブル

Clark Gable ピーター
クローデット・コルベール Claudette Colbert エリー
ウォルター・コノリー Walter Connolly アンドリュース
ロスコー・カーンズ Roscoe Karns シェプリー
ジェームスン・トーマス Jameson Thomas ウエストリー
アラン・ヘイル Alan Hale 酔っ払い
「俺か?夜は力強いタカ。朝は愛らしい君の頬をなでる風さ」
★★★
大銀行家アンドリュー氏の一人娘エリーは、父の反対するウエストリーと承諾を得ないまま結婚。父は即座に結婚を無効とする手続きを取り、娘をマイアミのヨットに軟禁してしまった。ところがじゃじゃ馬娘のエリーは海に飛び込んで脱出、ウエストリーの待つニューヨークに向かって夜行バスへと飛び乗った。そこに乗り合わせたのが、クビを宣告された新聞記者のピーター。彼はエリーがアンドリュー氏が血眼になって捜している娘だと気付き、起死回生のスクープをモノにしようと彼女に近付く。こうして二人の珍道中が始まったが、エリーのバッグが盗まれる、バスは大雨で立ち往生、おまけに父がエリーに懸けた1万ドルの懸賞金を狙う者も現れ、その逃避行はトラブル続き。危険を避けてバスを降りた二人だが、とうとう有り金も底をつき、空腹を抱えてヒッチハイクでニューヨークを目指すことになった。けれどようやくニューヨークまであと3時間という距離まで来たところで、なぜかエリーの心は晴れない。その手には、父が結婚を承認し「もう大丈夫帰っておいで」と呼びかける記事の載った新聞が握られていた。エリーはすでにピーターのことを愛し始めていたのだ…。
派手な動きで笑いを取るドタバタ喜劇のスラップスティック・コメディに対して、軽妙な台詞のやり取りで笑いを取る“スクリューボール・コメディ”。サイレントからトーキーへと移って初めて可能となったスタイルですが、その草分けがこの作品とされています。ちょっと嫌みのある気障な二枚目といった役どころのハマるクラーク・ゲイブルにとって、まさにうってつけのジャンルと言えますね。また当時は健全性が尊ばれ、映画作品への検閲が厳しくなっていた時代だそうで、結婚前の男女がベッドを共にすることが御法度とされた規定を逆手に取っての「ジェリコの壁」が、ストーリーに小粋でユーモアたっぷりのアクセントを加えています。タフガイ&じゃじゃ馬というラブコメの王道パターンを確立し、ヒッチハイクでスカートの裾をたくし上げて車を停めるというお馴染みのシーンなど、映画のみならずさまざまな分野に影響を及ぼしたと思われます(某有名RPGのラストシーンにもそっくりなものが…)。アカデミー賞の主要5部門、作品・監督・主演女優・主演男優・脚色(または脚本)賞独占という快挙は、歴代最多11部門で受賞した『ベン・ハー』でさえ成し遂げておらず、41年後の『カッコーの巣の上で』がその記録に並ぶまで待たなければなりません。当時としても異例の低予算(約30万ドル)で製作されたそうですが、ハリウッドの名作は巨額の予算をかけた大作ばかりじゃないことを証明する1本ですね。

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