NOSFERATU: EINE SYMPHONIE DES GRAUENS
吸血鬼ノスフェラトゥ
1922:独
監督:
F・W・ムルナウ F.W. Murnau  
出演:
マックス・シュレック Max Schreck オルロック伯爵
グスタフ・フォン・ヴァンケンハイム Gustav von Wangenheim ジョナサン・ハーカー
グレタ・シュローダー Greta Schroder ニーナ
アレクサンデル・グラナッハ Alexander Granach レンフィールド
  ヨーン・ゴットウト John Gottowt 教授
グスタフ・ボッツ Gustav Botz 町医者
「その名は猛禽類の叫びの如く忌わしい。決して口に出してはならぬ」
★★★
ブレーメン市の周旋屋レンフィールドの下で働くジョナサン・ハーカーは、この町に家を買いたいというオルロック伯爵に会うため、新妻ニーナに暫しの別れを告げてトランシルヴァニアへと旅立った。伯爵の城に近付き、夕食を摂りに入った宿屋でジョナサンが「オルロック城」の名を口にすると皆の顔色が変わり、暗い内は出ない方がいいと忠告される。その夜は宿泊することにしたジョナサンは、部屋の中で“吸血鬼の本”と題された書物を手に取った。それは「最初のノスフェラトゥ=不死者は1443年に誕生した」との書き出しで始まっていた。翌日、伯爵の出迎えを受け城に到着したジョナサンは、食事の際パン切りナイフで指を傷付け、滴る血に伯爵が昂奮するのを見て不審に感じる。そして朝、首筋に痛みを覚え、鏡を見ると牙の痕のような傷が付いていた。それは本に書かれていた吸血鬼に噛まれた者の症状と一致していた。さらに昼間、地下室の棺の中で眠る伯爵の姿を見たジョナサンの疑念は確信へと替わり、城を抜け出しニーナの待つ我が家へと走った。しかし伯爵もまた、船に積み込んだ棺の中に隠れて海路ブレーメンへと向った。
ブラム・ストーカーの小説『吸血鬼ドラキュラ』の実質最初の映画化作品ですが、著作権者から映像化の許可を得られなかったため設定やストーリーに微妙に手が加えられています。その後ベラ・ルゴシやクリストファー・リーによって確立されたドラキュラ像とはまったく異なり、禿頭に尖った耳、長く伸ばした爪、前歯が牙状というグロテスクな形相。蝙蝠ではなく、伝染病の媒介者としてのイメージを重ねて鼠をモチーフにしたものとなっているようです。そのためルゴシ&リー版のような貴族然とした威厳には欠けますが、“あさましい悪魔”として視覚的に直接訴える恐怖感がありますね。シルエットを用いた描写もモノクロならではの映像美を演出しています。またオルロック伯爵を演じたマックス・シュレックはプロフィールがまったく不明で、その名はドイツ語で「最大の恐怖」を意味するそうです。

Copyright (C) 2006 Kosamu. All Rights Reserved.