THE LOST WEEKEND
失われた週末
1945:米
監督:
ビリー・ワイルダー Billy Wilder  
出演:

レイ・ミランド

Ray Milland ドン・バーナム
ジェーン・ワイマン Jane Wyman ヘレン
フィリップ・テリー Phillip Terry ウィック
ハワード・ダ・シルヴァ Howard Da Silva ナット
ドリス・ダウリング Doris Dowling グロリア
フランク・フェイレン Frank Faylen ビム
「禁酒法が酒飲みを生んだ」
★★★
売れない作家ドン・バーナムは重度のアルコール依存症だった。兄ウィックの監視や恋人ヘレンの献身も実らず、二人の目を盗んでは隠れて酒を飲み、また家政婦の給金をネコババして酒代に替える始末だった。しかしようやく買った安酒もすぐに飲み干してしまう。馴染みのバーはとうにツケも利かなくなっており、一文無しの彼は酒場でハンドバッグを盗もうとして見つかり店を叩き出される。そしていよいよ切羽詰まって、作家の命であるタイプライターを質に入れようと街に彷徨い出るが…。
ニューロティック(異常心理)映画の草分けとされる作品で、アカデミーでは作品・監督・脚本賞とともに主演レイ・ミランドもオスカーを獲得。二枚目俳優or美人女優が精神の均衡を崩した役を演じると受賞しやすいという流れを作ることになりました。この十数年前までアメリカでは禁酒法が存在しており、アルコールの危険性に対してまだ過敏な意識が残っていたのでしょうか。現代にリメイクするなら麻薬中毒患者に差し替えた方がより納得できそうにも思えますが、比較的アルコール耐性が低い日本人と違って、欧米人のアル中患者は本作のように半端じゃないレベルまで行ってしまうようですね。私はまったくの下戸ですが、アルコールをニコチンに置き換えればこの主人公の気持ちが少しは分からないでもありません。まあここまで倫理観や人間性を崩壊させるほどのことはないでしょうが…。酒断ちを決意する場面はやや唐突かつ安易であり、無理矢理丸く収めた感が否めませんが、当時の映画製作の限界だったのでしょう。窓から酒壜を吊り下げている冒頭のシーンへとループするエンディングは、ビリー・ワイルダーらしい洒落たまとめ方ですね。

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