KING OF KINGS
キング・オブ・キングス
1961:米
監督:
ニコラス・レイ Nicholas Ray  
出演:

ジェフリー・ハンター

Jeffrey Hunter イエス・キリスト
シオバン・マッケンナ Siobhan McKenna 聖母マリア
ロバート・ライアン Robert Ryan 洗礼者ヨハネ
ハリー・ガーディノ Harry Guardino バラバ
ハード・ハットフィールド Hurd Hatfield 総督ピラト
オーソン・ウェルズ Orson Welles ナレーション
「義のために迫害される者は幸いである。天国は彼らのものだ」
★★★
ローマ帝国の支配下に置かれ、圧政に苦しむユダヤの民は救い主の出現を待ち望んでいた。ローマの傀儡ヘロデ王は自らの地位を危うくする予言を怖れ、救い主誕生の噂を耳にしてベツレヘムで生まれた新生児を皆殺しにするよう命令を下す。しかし大工ヨセフは夢のお告げにより、妻マリアと生まれたばかりのイエスを連れてエジプトに行き難を逃れた。ヘロデは酬いを受けるかのように急死、息子ヘロデ・アンティパスがユダヤ王となり、イエスの一家はエジプトから戻ってナザレへと移り住んだ。
それから30年余り後、ヨルダン川で人々に洗礼を授けるヨハネという人物があった。彼は「私は水で洗礼するが、私の後に来る人は聖霊と火で洗礼するだろう」と言い、「あなたが救い主か?」の問いには「私は“荒野で呼ばれる者”の声である」と答えた。そこへイエスが現れ、ヨハネは彼こそ「後に来る人」であると直感した。ヨハネによる洗礼を受け、聖霊を宿したイエスは荒野へ40日間の修行に出た。そこで悪魔の誘惑を退け、人里に戻ったイエスはペテロら十二使徒と呼ばれる弟子を従え、人々に教えを説き始めた。一方ヨハネはヘロデ・アンティパス王の後妻ヘロデアの悪心を罵ったことで捕えられ、その娘サロメの復讐心から首を刎ねられた。イエスは都エルサレムに入って病気に苦しめられる人々を癒し、数々の奇跡を行って噂となっていたが、ローマへの抵抗運動を指揮するバラバはイエスの求心力に期待するも「汝の敵を愛せよ」と愛と平和を説く教えに失望。だが使徒の一人イスカリオテのユダの助言により、イエスが神殿で群衆を前に説教する機会を利用して反乱を起こす計画を立てる。
イエスの行う奇跡のシーンなどはあまり強調せず、全体的に抑えめな演出。神話的性格を帯びた旧約聖書との根本的な違いもあって、『十戒』と比べると絵的に地味な印象は拭えませんが、イエスの生涯をあくまでも史実として捉えた描き方には好感が持てます。福音書では強盗として伝えられるバラバをレジスタンスのリーダーとした解釈は面白く、囚人の一人が解放される過越の祭りの慣例に、ユダヤの民衆がイエスよりバラバを選んだことに説得力を与えるとともに、ストーリーにも厚みを持たせています。ナレーションのオーソン・ウェルズと洗礼者ヨハネのロバート・ライアンを除いてはほぼ無名の俳優が起用されているのも、役者自身の色が出過ぎるのを嫌ってのことと思えますが、キャスティングはフランコ・ゼフィレッリ監督の『ナザレのイエス』の方がやはり魅力的で、イメージ的にもより近いものがありました。

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