EAST OF EDEN
エデンの東
1954:米
監督:
エリア・カザン Elia Kazan  
出演:

ジェームズ・ディーン

James Dean キャル
ジュリー・ハリス Julie Harris アブラ
レイモンド・マッセイ Raymond Massey アダム
リチャード・ダヴァロス Richard Davalos アロン
ジョー・ヴァン・フリート Jo Van Fleet ケイト
アルバート・デッカー Albert Dekker ウィル
「愛されないほどつらいことはありません。愛されないと心がねじけます」
★★★
1917年、カリフォルニア州サリナス。農場を営むトラスク家の双児の息子、真面目で信心深い兄アロンは父アダムのお気に入りだったが、弟キャルは素行不良で父にも反抗的だった。兄弟の母ケイトは二人が生まれて間もなく死んだと聞かされていたが、キャルはまだ生きていて近くの町モントレーで娼館の女主人となっていることを知る。アダムが新規事業に失敗して財産の大半を失った時、キャルは母から借りた5000ドルを元手に、アメリカの第一次大戦参戦を見越して豆相場で儲けて父に見直してもらおうと考えた。そして父の誕生日、アロンが恋人アブラとの婚約報告をプレゼントとしたのに続いて、キャルは父が失ったのと同額の現金を手渡した。しかしアダムはアロンの贈り物は喜んだものの、戦争で儲けた金など受け取れないとキャルを叱責するのだった。キャルは怒りと失望で自棄になり、腹いせにアロンを母親の元へと連れていく。天使と信じていた母親の実態を知ったアロンは酒をあおり、そのまま軍用列車に飛び乗って出征して行った…。
アダムとイブの間に生まれた兄カインは地を耕す者となり、弟アベルは羊を飼う者となる。二人は各々の収穫物を主に捧げるが、主はアベルの供物のみ顧みられカインの供物は顧みられなかった。嫉妬したカインはアベルを殺し、その罪で主の元を追われ“エデンの東”ノドの地に移り住む…創世記第四章を下敷にした物語で、カインが主にアベルの行方を問われて答える「知りません。私は弟の番人ですか?」(人類最初の嘘)を踏まえた台詞があるなど、予備知識として入れておけばより理解も深まるかと思われます。聖書においては主がカインの供物を顧みられなかった理由がもひとつ明確ではありませんが(ちなみに私が幼い頃教会で教わった時は、カインは収穫物のうち出来の悪い物を捧げアベルはもっとも良い物を捧げたためと理由付けられてましたが、原典ではアベルの供物は「その群れの初子と肥えたもの」とあるもののカインの供物については特に言及されてません)、本作でのカイン=キャルが父に疎んじられるのにははっきりとした理由が付けられ納得し易いストーリーとなっていますね。最後にはキャルにも救いの手が差し伸べられるのも原典とは大きく異なるところ。ただアロンが救われないままほったらかしなのがちょっと可哀想ですが。現代の感覚からすると、結婚してもおかしくない年頃の息子が父親の愛情に飢えてひねくれたり、歓心を金で買おうとするのはずいぶん幼い行為にも思えますが、親と子が今よりずっと強い結びつきにあった時代ならではのお話でしょう。ジェームズ・ディーンのデビュー作であり、事故で夭折したため神格化されていることを割り引いても、この危うく澄んだガラスのような青年像は当時の人々にもさぞ鮮烈な印象を与えたと想像されます。ふと思ったのですが、この双児の兄弟とヒロインとの三角関係は、あだち充の『タッチ』の着想のヒントにもなったのでしょうか。

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