CUPOLA, WHERE THE FURNACES GLOW
キューポラのある街
1962:日
監督:
浦山桐郎  
出演:

吉永小百合

石黒ジュン
浜田光夫 塚本克巳
東野英治郎 石黒辰五郎
杉山徳子 トミ
市川好郎 タカユキ
加藤武 野田先生
「一人が五歩前進するよりも十人が一歩ずつ前進する方がいい」
★★★
キューポラ(鉄の溶解炉)の煙突が立ち並び、鋳物の町として知られる埼玉県川口市。中学3年生の少女ジュンとタカユキら二人の弟は、この町の工場で働く貧乏暮らしの職人の子どもたちだ。そしてもう一人弟妹が生まれようとする矢先、父である辰五郎が勤めていた工場をクビになってしまう。隣に住む若い工員の克巳は組合の力を借りるよう勧めるが、昔気質の職人でアカ嫌いの辰五郎は耳を貸さない。一家の暮らしはますます困窮し、高校進学を希望するジュンは学費を稼ぐためパチンコ屋でアルバイトを始める。バイト仲間のヨシエとは弟同士も揃って仲良しだったが、やがてヨシエらの姉弟は朝鮮人である父親とともに北鮮に帰国することになった。
吉永小百合の人気に火をつけた出世作であり、サユリストと呼ばれる信奉者たちを生み出した魅力は、世代ではない私にも十分理解できるものがあります。世代を問わず日本人の好む典型的な顔立ちなのかも知れませんね。桜田淳子からアクを抜いた感じもしますが。ストーリーの方は原作者早船ちよが共産党員であるため根底に共産主義の思想が垣間見えますが、60年代初頭の空気を反映した世相史の一篇として興味深く観ることができます。北朝鮮への帰国事業を肯定的に描いているのは、その後の彼らの運命を知った今となると複雑な思いに駆られますが、マスコミも後押しし北朝鮮のプロパガンダを鵜呑みにした礼讃記事を並べ立てていた時代であり、この作品に罪を問うのも酷というものでしょう。

Copyright (C) 2006 Kosamu. All Rights Reserved.